「絵の内と外 谷川俊太郎の世界を描く」講談社
出版記念パーティーに参加させていただきました。
谷川俊太郎先生とは
銀座・ギャラリーゴトウで2016年より開催
ギャラリーコンサートでお会いしました。(その時のブログです)
あの日の事は、大切な思い出です。
谷川俊太郎氏の詩と、詩をテーマに32人の画家の絵画とのハーモニー。
谷川俊太郎先生の詩を絵で表現する
絵画の魅力を言語化するという素晴らしい本が講談社から
春に出版されました。
88歳になられる
詩人、谷川俊太郎先生の言葉を一言も
聞き漏らしたくなくて夢中でした。
詩の朗読や歌も歌ってくださって
谷川先生と同じ時間を過ごす
まさに、夢の中のような時間でした。
「80代になられて、詩というものを
縛りがない形で楽しめるようになったそうです。
(今までは、子育てという経済活動があったから)」
「言葉が溢れすぎる世の中で
短い言葉で
表現する詩に取り組まれているそうです。」
「詩は、作者の想いを発信するものではない。
離れて、独立していないと面白くならない。」
「最近の言葉は、信用ならない。
分かってる風なコメンテーターの言葉でなく
今、現場に居る人達の言葉が信頼出来て面白い。」
「人は、一生懸命美しい素晴らしいものを
作っている。だからどんな作品にも
美しさを感じる。
しかし、自然というものの美しさには、かなわないと思います。」
御子息の谷川 賢作さんとの
ユーモア溢れる絶妙な会話や美しいピアノの演奏。
「鉄腕アトムのテーマソング」
を歌ってくださって
優しくて温かい谷川先生の歌に感激で
胸がいっぱいになりました。
谷川俊太郎先生、賢作さん、皆様
素晴らしい時間を
ご一緒させていただきありがとうございました。
ギャラリーゴトウの後藤眞理子さん、
おめでとうございます 。
春に延期になってしまい
開催されるまでには、
色々大変だったと思います。
ありがとうございました。
こんな時代だからこそ癒される
詩やアートがさらに大切だと感じました。
谷川先生の詩の朗読は、元気をもらえる
「朝のリレー」から始まりました。
「朝のリレー」
カムチャッカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は
柱頭を染める朝陽にウインクする
この地球で
いつもどこかで朝がはじまっている
ぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交換で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ
「絶望」
絶望していると君は言う
だが君は生きている
絶望が終点ではないと
君のいのちは知っているから
絶望とは
裸の生の現実に傷つくこと
世界が錯綜(さくそう)する欲望の網の目に
囚(とら)われていると納得すること
絶望からしか
本当の現実は見えない
本当の希望は生まれない
君はいま出発点に立っている
「静かな犬」の詩は、
あまりにも
わたしの心に刺さりすぎて
涙が溢れてきました。
静かな犬が
私のかたわらにうずくまっている
私の犬ではない
おそらく誰の犬でもないだろう
静かな犬は
もの問いたげに私を見上げる
恨みや諦めの色のない眼
私より上等な魂
いのちのすべては自然の無言に抱かれ
生きて滅ぶ
言葉を持ってしまったヒトだけが
こうして自然に逆らっている
空気は身じろぎする
小川が河に合流する
思い出の花の香り
子どもの遊ぶ声・泣き声
静かな犬は
静かに待っている
次に来る何かを
何の期待も幻想もなく
0コメント